多発性骨髄腫と家族

多発性骨髄腫の治療記録。 最近、治療の当本人である主人もブログを始めました。 こちら➡︎ https://ken-ken-ken.muragon.com

多発性骨髄腫について
治療、症状、患者家族として
残せるものを置いていきます。


2012年8月=主人37歳
多発性骨髄腫と診断
治療開始
2013年
治療→自家移植→
同種移植→寛解
2014年
寛解維持
2015年12月
再発
2016年1月
治療再開
2019年9月
永眠しました

介護福祉士
娘二人の母親してます。

初期:同種移植入⑨~免疫抑制剤~

今回は同種移植後に服薬する大切なお薬、
またその効果についてです。


【免役抑制剤】
同種移植後はドナー、レシピエントのTリンパ球を代表とする免役細胞の作用で下図に示すような反応が起こります。


ドナー細胞       患者さん(レシピエント)
 ╶╶╶             ╶╶╶
¦  ¦  ←拒絶=生着不全 ¦  ¦
¦  ¦    →GVHD→   ¦  ¦
¦  ¦ →GVL効果→  ¦  ¦
 ╶╶╶             ╶╶╶
ドナーがレシピエントを攻撃する免疫反応は移植片対宿主病(GVHD)レシピエントの残存したTリンパ球がドナー由来の幹細胞を攻撃すると生着不全が生じる。これらの反応をある程度予防することが同種移植では必要となってきます。
上述の通りTリンパ球の働きを直接抑制することが重要で、
移植後はカルシューニュリン阻害剤(CNI)という免役抑制剤が必要です。
CNIはTリンパ球の増殖・活性化に必要なIL-2を阻害する事で効果を発揮します。
同種移植後に用いるCNIにはシクロスポリン(CyA)とタクロリムス(FK)の二種類があります。いずれも同様の作用を持つがFK506のほうが免疫抑制作用も副作用も強いです。二剤の使い分けは、
・シクロスポリン(サンディミュン®)
=HLA 一致同胞 / HLA DR 一座ミスマッチ同胞
・タクロリムス(プログラフ®)
=非血縁者間同種移植 / 臍帯血移植
 となっています。
※主人は非血縁者からの同種移植でしたので、プログラフを使用しました※


CNIは通常移植前日から投与を開始します。移植後生着し、GVHDのコントロールが良好で、下痢が見られない状態になると1日2回の飲み薬に変更していきます。GVHDがなければ最終的に移植後半年を目安に免役抑制剤は中止します。免役抑制剤は両剤ともに他の飲み薬やグレープフルーツなどに影響を受けやすい性質があります。特に免役抑制剤を中止するまではグレープフルーツは摂取することが出来ません。
※①グレープフルーツの摂取に関して、細心の注意を払います。洋菓子、ミックスジュースに入っていなか等、買い物時には裏面確認必須でした※
※②通常ですと半年程度で内服を中止する免疫抑制剤でしたが、主人は検査結果や皮膚、腸へのGVHDが続いていたのでお薬をやめるまでに一年ほど時間がかかりました。退院時0.5mg×2回(12時間後)からジワジワ減らしていき最終的には0.2mgと微々たる量でしたが時間を要しました※


免役抑制剤は副作用を最小限とし、適切な効果を得るためにはしっかりと血中濃度を安定させる必要があります。移植後早期にはさまざまなことが影響し血液中の免疫抑制剤の濃度が変化しますので頻繁に血液検査を行います。
免疫抑制剤はしっかりと安定させる必要がありますので、特に飲み薬に変わった後は忘れないようしっかりと内服されてください。


CNIの副作用としては腎機能障害、高血圧、振戦(手のふるえ)、高血糖、低マグネシウム血症、神経障害など多種多様です。特に腎機能障害の頻度が比較的高いため水分摂取も大切です。
※常に腎機能検査を行い、一日2Lの水分摂取を目標にお話しがあり、ペットボトルは飲みきりでしたので500ml×4本のノルマがありました。他の水分でもOKでしたが血糖の値も高くなっていたので糖分のないor少ない飲料となるとブラック珈琲とお水が主でした※


【MTX=メソトレキソート】
通常GVHDの予防にはこの免疫抑制剤に加えてメソトレキソート(以降=MTX)という抗がん剤を用います。MTXはリンパ球を減らしたり作用を抑える作用があり、もともと急性リンパ性白血病などのリンパ系悪性腫瘍や関節リウマチなど自己免疫性疾患の治療にもちいられています。
MTXの副作用として血小板減少と粘膜障害があります。また、移植前処置の副作用の粘膜障害と関連し口内炎・咽頭痛や下痢などの副作用が生じることがあります。腎臓の機能が悪いとこれらの副作用が増強することがありますので慎重に量を調整します。MTXは生理食塩水に溶かして注射します。




免疫抑制というのが骨髄腫治療には大切になります。
患者という立場から見ると、粘膜障害での関連死が多いと説明を受けていたので、この説明書に何度も目を通しながら「いまの治療に何が必要なのか」ということを理解することができました。
予め副作用に何があり、どうなるのか、どうなったら急変なのか、これくらいの知識をいれておかなければいけないと思い熟読しました。



次回は感染症についてです



多発性骨髄腫という病気について新しい情報が少ないいま、
同じ病気を抱えられている患者様やご家族へ
何かしら『そういうことなのか~ ピコン!』と目にとまるモノがあればいいなぁ書いています。
治療に関する記事は省いても良さそうなものなのか、そうでないのか、
素人には判断が出来ませんし主人の主治医も看護師さんも
本当に何でも詳しく説明してくださったので
記憶にある限り触れた部分は残しています。


その為、どうしても一つ一つの記事が長くなってしまいます。
ご理解ご了承のほどよろしくお願いいたしますm(__)m




*長い記事を書くときはパソコンで全部打ち込んでるのですが・・ 若干、図形らしきものがズレてるのは温かい気持ちで( i _ i ) 気をつけてはいますが、誤字脱字があるかもしれません。 と言うのも、病院からの説明書にも『んんん!?あれれ!?どういう意味だこれ・・(笑)』って箇所があります。 そう考えると校閲のお仕事(病院のパンフや説明書はしないかもしれませんが)って本当に凄いと思います。
>思いっきりドラマの影響。*