多発性骨髄腫と家族

多発性骨髄腫の治療記録。 最近、治療の当本人である主人もブログを始めました。 こちら➡︎ https://ken-ken-ken.muragon.com

多発性骨髄腫について
治療、症状、患者家族として
残せるものを置いていきます。


2012年8月=主人37歳
多発性骨髄腫と診断
治療開始
2013年
治療→自家移植→
同種移植→寛解
2014年
寛解維持
2015年12月
再発
2016年1月
治療再開
2019年9月
永眠しました

介護福祉士
娘二人の母親してます。

初期:同種移植入⑩~感染症~

骨髄移植後の感染症は命に関わるとても重要な部分です。
「治療関連死」という危険性が出てくるのも、
この感染症から始まる事がほとんどだと先生は仰っていました。


【感染症について(総論)】
ヒトには細菌、ウィルス、真菌(カビ)などの病原体から身体を守る力、
“免疫力”が備わっています。免疫力には大きく分けて三つの階層があります。


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第3階層<獲得免役:Tリンパ球・Bリンパ球・抗体>
 ⇒特異的!!!
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第3階層:かつて体内に侵入した病原体の事を記憶している細胞がいます。
主にリンパ球という細胞がその中心となります。再度病原体が侵入した場合は非常に効率よく、すばやく病原体を攻撃します。前処置の影響、免疫抑制剤を使用することでリンパ球は数も機能も低下します。ウィルス感染症や真菌感染症など多様な感染症を起こします。


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第2階層<自然免疫:好中球・NK細胞・マクロファージ>
 ⇒非特異的
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第2階層:体内に誤って侵入した病原体を退治してくれる好中球、マクロファージ、NK細胞などがあります。
警察官のように全身をパトロールしています。生着するまでは前処置の影響でこれらの細胞そのものが減少します。すると病原体を発見して退治する力が落ちてしまうので感染症が生じます。


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第1階層<物理的障壁:消化管粘膜・皮膚>
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第1階層:身体に備わっているバリア機能です。
口腔内・腸管内、皮膚には無数の病原体がいます。通常このバリア機能がしっかりと機能しているため病原体が体内に侵入するのを防いでくれています。大量の抗がん剤治療や全身放射線照射などの移植前処置を行うと、消化管粘膜の細胞が障害され、細胞と細胞の隙間が露出している血管から病原体が侵入するようになります。


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このように免疫に関わるどの段階にでも造血幹細胞移植を行うと影響を受けてしまいます。


移植後に感染症を起こす病原体は大きく分けて[細菌]、[真菌(カビ)]、[ウィルス]の3種類があります。よって、予防のために使う薬剤も少なくともその感染症に応じたものを使用します。
治療に関してもそれぞれの病原体に併せて治療を行っていきます。
[細菌]ーーー抗生剤
[真菌(カビ)]ーーー抗真菌剤
[ウィルス]ーーー抗ウィルス剤


これらを踏まえた上で移植後の感染症は三つに分けることが出来ます。


【Phase l】
移植を行い生着するまでの一ヶ月間です。
この時期は前処置による好中球減少、口腔・消化管粘膜を中心とした粘膜障害、中心静脈カテーテルを挿入していることにより皮膚のバリア機能の障害がおき、細菌感染症、カンジダ、単純ヘルペスウィルスによる感染症が問題となります。


◎発熱性好中球減少症
この時期、好中球が減少している時期に発熱を認めた場合は早急に対応が必要です。このような状況を発熱性好中球減少症と呼びますが、発熱の原因が感染症ではないと断言できる検査がないため、感染症を起こしているものとして対応します。熱が出ていて体のきついときですが、血液中に菌が回っている(菌血症)の可能性も20-30%程度ありますので、後に原因を知るためにも血液培養という検査を行います。念入りに消毒し20mlの採血を行います。
二か所から採血を致します。その後速やかに抗生物質の点滴治療を行います。また真菌(カビ)感染症が疑われる場合は抗真菌剤の変更を行います。また中心静脈カテーテルに付着した菌が原因で感染症が生じていることもあるため抗生剤治療への反応が良くない場合には中心静脈カテーテルを抜くこともあります。好中球が増加する、つまり生着すると回復してくることが多いですので、生着し解熱するまで抗生剤をしっかり投与します。


【Phase ll】
生着し100日目程度までの約二ヶ月間です。
この時期は急性GVHDおよび、その予防、治療のために使用する免疫抑制剤の影響で獲得免役(細胞性免疫、液性免役不全)が生じます。サイトメガロウィルスやアスペルギルス、ニューモシスチスなどによる感染症が問題となります。他にも出血性膀胱炎も危険は上昇します。


◎サイトメガロウィルス感染症
サイトメガロウィルスはヘルペスウィルスのなかまです。
幼少時期に無症候性感染(感染するが症状が出ない状態)を起こし、その後体内に潜伏感染しています。体を守るべく働く免疫力が正常な場合は体内に潜伏感染をしていても問題となりませんが、造血幹細胞移植を行うと免疫抑制剤を使用したり、GVHDに対して治療を行ったりすると免疫力が低下します。そうするとサイトメガロウィルスが体内で増殖し(再活性化)、その後肺炎腸炎肝炎網膜炎といったサイトメガロウィルス病を来すことがあります。
特に肺炎はいったん発症すると生命に関わる重大な合併症であり、発症させないことが重要です。移植後生着してからサイトメガロウィルス感染症がみられるようになりますので、毎週一回サイトメガロウィルスが再活性化していないか血液検査で調べていきます。もし、再活性化が見られた場合、症状が出てくる前にウィルスを抑え込むためサイトメガロウィルスに効果のある抗ウィルス薬を投与します。
・腸炎は症状のみではGVHDとの区別が困難ですので、症状のあるときに身体的な負担となりますが大腸内視鏡検査を行っていただきます。網膜炎については再活性化が続く場合に眼科受診をします。


◎アスペルギウス感染症
アスペルギウスは糸状菌という糸状の菌です。
病院を含め環境中に生息している真菌で空気中を飛んでいます。好中球などの白血球がしっかりと働いている状況では吸い込んでも問題はありませんが、移植後の好中球減少期や免疫抑制剤を供している際には、呼吸で吸い込んだアスペルギウスが気道の粘膜に付着します。その後、体内に侵入しさまざまな症状を起こします。侵襲性肺アスペルギウス症、副鼻腔アスペルギウス症、中枢神経アスペルギウス症などがあります。
症状としては急激な発熱、全身倦怠感、咳嗽(がいそう/せきこむという意味だそうです)、血痰、胸痛など様々ですが最近では血液検査でアスペルギウスに感染している可能性があるかどうかを調べることもできるようになり、疑わしい場合は積極的に胸部CTを撮影します。
確定診断をする場合には気管支鏡検査などでアスペルギウスが存在しそうな部位から組織を一部とってくる必要がありますが、もともと出血しやすい状況ですので検査ができない場合もあります。
疑わしいときには積極的に抗真菌剤を変更して治療を行っていきます。
なお、移植患者が好中球減少時にクリーンルームで治療をするのはこのアスペルギウス症などの空気中を漂っている真菌感染症を予防することを目的としています。


【Phase lll】
移植後三カ月程度経過してからです。
退院をしても感染症に対する抵抗力は健康な方に比べると減少しています。慢性GVHDが発症するとさらに液性免疫の回復が遅れるため、肺炎球菌・インフルエンザ菌のような細菌や帯状疱疹ウィルスなどにより感染症が問題となります。


◎肺炎球菌感染症
肺炎球菌はヒトの気道粘膜に常在している菌です。肺炎、中耳炎などの原因菌として広く知られています。造血幹細胞移植後はこの肺炎球菌に対する抵抗力が減少しているため重症の肺炎、敗血症、髄膜炎などの症状を起こすことがあります。特に慢性GVHDが発症し免疫抑制剤を中止できない患者さんなどで見られます。退院後も発熱やせき、頭痛などの感染症を示唆する症状がありましたら病院まで連絡してください。敗血症を起こすと、重症化することもあります。バクタは肺炎球菌感染症の予防にも有効です。
※バクタは現在も内服しています。


◎帯状疱疹
帯状疱疹ウィルスはヘルペスウィルス属に分類されます。小児期に好発する水ぼうそうの原因はウィルスで神経系に潜伏感染しています。移植前処置開始後から多くは免疫抑制剤を中止ししばらく経過するまで(移植後1-2年)アシクロビルという抗ウィルス薬を内服して頂きますが、中止後に発症する患者さんも多いです。帯状疱疹の典型的な皮疹はピリピリとした神経痛を伴った水ぶくれが帯状に見られます。移植後の患者さんでは皮疹が広範囲に広がることもあったり、内蔵型帯状疱疹といい皮疹は認めず、皮疹のみで発症する患者さんもいます。症状が出現し早期に治療を行わないと、神経痛が残ることがありますので早めの連絡、受診をお願いします。



このように移植後は常に感染症と隣り合わせの状態です。感染症が疑われるときには積極的に検査を行い、治療も早急に開始します。



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移植後、一番気をつけないといけないのは、やはりこの感染症です。
GVHDが起こる事でドナーさんの骨髄と本人の中にある骨髄が攻撃しあってることを確認できるわけで、GVHDが出ないとドナーさんから提供して頂いた骨髄が生着しない=患者本人(主人の体)に居たくないのかなって思っていました。もちろん、医師もそこが凄く重要であって、ゆっくり出てくるGVHDを観察しながら主人と主人の細胞に向かって(笑)、
『もがいてるなー、○○さんの細胞(笑)本人に似て強いんかもしれん』って言ってました((+_+))
一気にGVHDが出ることはなかったですが、じわりじわり続きました。


間質性肺炎や帯状疱疹も頻繁に気にかけ、毎回聴診器で胸の音を聞いたり、
皮膚のチェックも怠らない素敵なM先生=担当医でした。


感染症に関しての注意事項や説明事項も多くありましたが、
家で出来ることは徹底して、必ず行いました。


・掃除機をかける時は、主人がいない場所で。またマスクをしてもらう。
特に掃除機の後ろから出る空気がよくない為、後ろ側を主人に向けない。
・エアコンはカビ菌が潜んでいるので、退院前に業者さんを呼んで掃除してもらう。これもダスキンさんへ依頼、掃除しました。M先生からは会社も可能であれば内部を全部業者さんへ頼んで掃除してもらいたいとお話ありましたが、さすがにコレは個人でどうこう頼めないので、、。
主人も移植後退院から社会復帰するまで、半年ほど自宅療養をしていたので、この辺は大きく影響なかったように思います。
とにかく家です!家の掃除は本当に大変でした。命かかってるので、難なく出来ましたが、今思い返すと大変です(苦笑)

・ホコリ、菌のありそうなところを徹底的に掃除!カーテンの洗濯、布団ほしてほこりはらったら上から掃除機かけて、アルコールスプレーまく。


・部屋中の壁紙を拭いて、ホコリがたまりそうなところを拭き掃除。それも、濡れたタオルで拭いて乾いたタオルで仕上げ拭き。そのあとに、アルコール除菌をする。このセットです。

・ものによっては一日三回、トイレ、洗面所、玄関、主人がいつも過ごしている寝室は全てアルコールジェルを、使用し除菌して歩きました。

・買い物してきたものも、同様に全部拭きます。


・人ごみ禁止なのでお買い物もいきません。
お出かけも「タイミング悪く入籍したので新婚旅行も」なく、です。




最後のは要らなかったかな(笑)



だいぶ長くなりましたが、
今回はこのへんで。


次回は一旦、同種移植まとめ
のような内容になるかと思います\(^-^)/



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コメントに頂いた内容に沿って
随時返信していきます。
よろしくお願いしますm(_ _)m